眼の色は、夜に

こねこのキトン・ブルーはとっくに過ぎた.

母さん猫の目は、よくのぞき込むと、濃い夜空や、月を連想する.

 

茶白んの目は、茶色っぽいので、こねこ時代は、異国の人が来たような気がした.

 

三毛さんの目は、夜、外にいるときはアンバーというのか、琥珀色でどこか赤く光るような感じがあった.

 

同じ頃にその町で生まれたらしい子猫が昨年の6月ごろか、保護する数週間前に事故で死んだ話を立ち会った町内会長さんから聞いて、この場所からつらい記憶とともに離れよう、と保護を決めたのだった.三毛さんは、大きな体のキジ白猫さんに猫パンチしながらごはんを食べていて、キャリーバッグに入れた時も、特に騒ぎも鳴きもせず、車に乗っても運転中も黙ってじっとついてきてくれて、家の中に入っても、押し入れのプラスティック衣装ケースの一番高いところか、部屋の仕切り戸を外して作った壁の隅にじっとしていた.

 もしかすると、当時、事故にあったのは、死んでしまったこねこだけではないかもしれない、と思う.目の虹彩の小さな赤い染みが春から気になった.ほとんど茶色になったのを、進行性のものや拡がるものでない病気だとほっとした.こねこ時代の古い傷だと先生の診断だった.

 

先日、右前足を浮かせて階段を上る症状が今までで一番ひどく出て、その前の日のけんかの声もあって動物病院へ行った.

折れてもいないし、どこもわるくなさそうだし、、と触診で先生も原因や症状を突き止めかねていたが、右肩甲骨の辺りを猫パンチされたな、、と言う.

 私が目撃したのは、三毛さんの珍しいけんかの声と、犬がいるお宅から黒白の母さん猫あんちゃんの父猫と一緒にすごい勢いで二匹で走って逃げるところだった.

三毛さんは、こちらの方まで戻ってくると,バツが悪そうな顔になって私の顔色を伺う.

すぐに抱きかかえて階段を登り、ドアを開けて中に入れる.

 

三毛さんは目が大きいし、顔もなんとなくスコティッシュフォールドとかに似ている.

元居た町には、大きな黒猫二匹いて、このスコティッシュ系の大柄の一匹が縦横無尽に二つか三つの町をまたいで行動範囲を広げていた.この猫の系統かもしれない.

関節が弱いのも仕方がないかも、、と思っていて、毎シーズン、季節の変わり目に痛みが出ているのでは、と思う.

 

それでも運動神経は抜群で、木登りもダッシュもオス猫以上で逃げ足も速い.

さっさと避妊すればよかったが、病院に連れて行けず避妊手術は2月になった.

 

先生は診察台の上に乗せて、軽く動物看護士さんに首元を二本の指で押さえさせ、エリザベスカラーをしてから、軽く右足を手に握る.「木登りするなら、、、」とバチン、と右の親指だけ切って手をふと止める.

「抱っこしたりするとき痛いから切ってもいいが、、、」とこちらを見て尋ねられた.

三毛さんは猫パンチも当たらないようにちゃんと空振りしてくれるし、最近いになってようやく膝に乗ったりするときも爪は立てたことがない.一度か二度、怒られて引っ掻かれたことがあるが、ごめんね、とこちらが謝りたいような時だけだったと思う.

 

先生に会って、動物たちは聞いたことないような大きな声で鳴く.

普段は小さく、か細く、弱弱しく思えるほどの声しか聴いたことがない.

それはやっぱりどこか体の調子が悪いのかも、とも思う.

 

動物のお医者さん、というコミックが昔流行って、最近になって単行本化されたものを飛ばし読みしたが、やっぱり動物とコミュニケーションをとれるヒトというのはいる.

 

 

 

 

 

日本の人の目はほとんど黒い髪に黒い瞳で普段意識することはない.

海を渡ると、いろんな色彩の瞳の色があって、

猫にももう少し体毛の柄以外に、目の色で個体識別するようにならないものか.

 

教も、黒白さん4匹は駆け回っていて、遠目に区別がつかない.